受精障害の原因とメカニズムについて – 不妊鍼灸お悩みQ&A

Q 受精障害の原因とメカニズムについて教えてください。

Q 受精障害の原因とメカニズムについて詳しく教えてください。また、受精障害は、不妊治療の初期の段階で発見することは可能ですか?

 

 受精障害の原因を理解する前に、受精のメカニズムをしっかり把握する必要があります。

卵には、その周りを覆う卵丘細胞と呼ばれる層が存在します(詳細は図を参照)。

卵丘細胞は保水作用のあるヒアルロン酸でできており、卵子か傷ついたり、乾燥するのを防ぐ役割があります。

さらに卵子は自分一人ではエネルギーをつくることができません。
卵丘細胞は受精に必要なエネルギーをつくり、卵子へ供給する
役割を持っています。

このように卵丘細胞は大切な役割を担っており、精子が卵子に
結合するときは卵丘細胞と言われる層で卵子が結合することになります。

透明帯と先体反応

さらに卵丘細胞と卵子の間には、透明帯と呼ばれる薄い層があります。

精子は初めに卵丘細胞と結合し、その後、透明帯と接触するようになります。透明帯に接触すると「先体反応」が生じるようになります。

先体反応が生じると、透明帯が融解し、卵子に通じる通路ができて、精子が卵内に取り込まれる環境がつくられるようになります。

卵内に入った精子は卵子と結合して受精卵の一つ前の段階の前核が形成され、やがて一つの核となり、受精が成立するようになります。

受精障害の3つの主な原因

受精障害の原因を大きく分けると、「卵子の異常」「精子の異常」「先体反応の異常」に分けることができます。

■卵子側の異常の例
● 透明帯が固く融解しないため、精子が侵入できない
● 精子が卵内に無事侵入しても、卵子の質が悪いため、
前核が形成されない

■精子側の異常の例
● 精子に透明帯を通過する運動力が備わっていない
● 卵子と結合して活性化させる力がない

■先天反応の異常
卵子、精子ともに正常にもかかわらず先体反応が起きない

受精障害は不妊の基本検査では発見できず、体外受精の段階で発見される

受精障害にはきちんとした定義があります。
体外受精で精子と卵子を受精する際に、受精率が25%以下の場合を受精障害と言います。

まったく受精が望めない場合は、「完全受精障害」と診断されます。

受精障害と言われる不妊因子が問題となったのは、体外受精の技術が確立されてからのことです。

つまり、体外受精の段階にならないと受精の有無が確認できないことになります。

不妊治療の最初に行う6大基本検査でわかるのは、あくまで卵管の状態のみであり、あくまで不妊検査のスタートラインにすぎないのです。

今後は、初期の検査の段階で受精障害を発見できる技術がやはり望まれることかと思います。

受精障害の原因とメカニズムについて
(画像:荒木重雄 医学書院 不妊施術ガイダンス改定第2版)

初回限定料金~不妊専門のすずらん鍼灸院

執筆者

すずらん鍼灸院 院長プロフィール

すずらん鍼灸院 院長プロフィール

大島宏明 すずらん鍼灸院 院長

■経歴
昭和43年:東京都足立区生まれ
平成13年:日本鍼灸理療専門学校卒業
平成14年~16年:富山県の鍼灸院でインターン研修
平成16年:すずらん鍼灸院開業

■免許

はり師免許番号:119623
きゅう師免許番号:119533
不妊カウンセラー

■所属団体

奇経医学研究会スタッフ
経絡治療学会会員
日本不妊カウンセリング学会会員

新刊:血流をよくすれば、不調は消えていく

不妊鍼灸について詳しくはこちら

この記事に関する関連記事

すずらん鍼灸院