Q 卵の補足障害とはどういった症状ですか?

Q 一般不妊検査で異常がなく、その後、治療を受けても妊娠できませんでした。 この前、精密検査を行い、卵の補足障害が疑われると言われました。 卵の補足障害とはどういった症状ですか?
A 卵管采とは、卵管の先端にあるイソギンチャクのような形をした部分をいい、排卵した卵子を取り込む役割があります。
通常、排卵した卵子は、この卵管采から吸い上げられて卵管に取り組まれます。その後、精子と出会い、受精して受精卵を形成するようになります。
ただ、卵管采が正常に機能せず、卵管采の変形や捻じれにより、卵子が卵管采に癒着するなどの現象で卵子を卵管に送れなくなることがあります。
このような卵の補足障害が原因で妊娠できない症状をピックアップ障害、あるいはキャッチアップ障害とよんでいます。
このピックアップ障害は、「原因不明不妊」と言われる不妊でかなりの部分を占めていると言われています。

卵の補足障害の概略図
(画像:荒木重雄 医学書院 不妊治療ガイダンス改定第2版)
卵の補足障害は、一般不妊検査で見つけることはできない
様々な不妊治療を行っても原因が特定できず、あるいは、原因が特定できていて治療を行っても妊娠が実現しない場合、かなりの割合で卵管采のトラブルによる卵の補足障害であることが確認されるようになりました。
卵管采における卵の補足障害は、一般不妊検査の段階で見つけることは困難で、精密検査で発見できることが多いです。
コラム的なお話になりますが、卵の補足障害は、不妊の原因の重要項目として従来から考え方としては存在していたのですが、なかなかそれを証明することができませんでした、
近年になってミニラパロトミーを用いた受精卵卵管内移植法(GIFT法)を行う際に、卵管を観察した卵管采の肉眼的な所見から、難治性不妊患者の約50%に卵の補足障害が関わっていたと示唆される報告がありました。
さらに卵管采の分泌細胞や綿毛細胞の異常を含めると卵子の補足障害は60~70%にも及んだとされます。
このような背景から、原因不明不妊のかなりの部分を卵の補足障害が占めると言われるようになったと推察しています。
卵の補足障害はGIFT法が有効だが、近年は体外受精が主流
このように原因不明不妊の半数以上が卵の補足障害であることが解明されつつあります。
このような場合、受精する前の精子と卵子を卵管内に直ちに移植する方法、GIFT(ギフト)法が有効でした。
GIFT(ギフト)法における発育は卵管の中で行われるので、より自然妊娠に近づけようとした不妊治療と言ってもよいかもしれません。
そのため、妊娠の確率が通常の体外受精と比べて高い確率で成立するとも言われていました。
このように一般不妊検査で異常が見られず、2年以上の長期間、不妊治療を行っても妊娠が成立しない場合には、卵の補足障害がその背景にあることを考えておく必要があります。
但し、GIFT法の成功確率が高いと言われたのは、少し前の話になりました。
近年において、体外受精の治療技術は目まぐるしく進化し、成功確率が年々上がっていきました。
そのため、卵の補足障害における不妊においてもGIFT法が徐々に行われなくなり、体外受精が主流になっております。
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