卵胞発育の段階と排卵障害 – 不妊鍼灸お悩みQ&A

Q 卵胞発育と不妊の関係について教えてください

Q 卵胞発育の障害が疑われると言われましたが、よく意味が 分かりませんでした。卵胞発育と不妊の関係について教えてください。

 

 女性の体は生まれる前、つまり胎児の頃より、約700万個の原始卵胞を持っています。原始卵胞は、年を取るたびに徐々に減っていき、思春期には数十万個にまで減っています。

思春期以降も、女性は月経の度に原始卵胞を排出し、そのうちの一つが卵子」になります。この一つの「卵子」をつくるために、月経の度に約300個の原始卵胞を失うことになります。

この原始卵胞が排出される数は、30才以降、280、270・・・と徐々に減少していき、さらに出来上がる卵子の質も劣化していきます。

従って、質のよい卵子を形成するためには、原始卵胞が排出されたときに正常に成長して質のよい卵子をつくることがとても大切になります。

卵胞発育から排卵までの障害部位とその特徴
(画像:荒木重雄 医学書院 不妊治療ガイダンス改定第2版)

卵胞発育には段階がある

原始卵胞は卵巣に存在し、その大きさは0.1~0.2mm(小卵胞)です。
卵胞は、卵胞刺激ホルモンの影響を受けて月経直前には5mmほど(中卵胞)に成長することになります。

卵胞はさらに成長し、直径8mmくらいからエストロゲンの分泌が徐々に増えていき、15mm(成熟卵胞)になるとさらにエストロゲンの分泌は急増していきます。

このように発育段階は、小卵胞、中卵胞、成熟卵胞の3つに分けることができます。

そして卵胞発育の障害は、これらの段階で起きるようになります。

 

■小卵胞の段階における卵胞発育障害
障害部位:最大の卵胞が直径1mm以下
障害の特徴:十分なエストロゲン分泌ができず、無月経を生じる

■中卵胞の段階における卵胞発育障害
障害部位:卵巣中に直径5mmほどの卵巣が多く存在
障害の特徴:基礎レベルのエストロゲン分泌が見られ、無月経、あるいは
無排卵周期症を生じる。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)もこれに該当します。

■成熟卵胞の段階における排卵障害
障害部位:排卵直前の直径18mm程度の卵胞の発育が認められる
障害の特徴:卵胞成熟が認められても、卵胞破裂が起きず、卵を含んだまま黄体形成が起きるようになります。

上記の3つの中で最も軽症な段階は、成熟卵胞の排卵障害になりますが、卵胞の発育が起きない、あるいは卵胞破裂が起きない状態を「排卵障害が原因による不妊症」として扱われています。

排卵障害による不妊症は、調査機関によってばらつきはありますが、不妊患者の15~25%を占めると言われております。

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執筆者

すずらん鍼灸院 院長プロフィール

すずらん鍼灸院 院長プロフィール

大島宏明 すずらん鍼灸院 院長

■経歴
昭和43年:東京都足立区生まれ
平成13年:日本鍼灸理療専門学校卒業
平成14年~16年:富山県の鍼灸院でインターン研修
平成16年:すずらん鍼灸院開業

■免許

はり師免許番号:119623
きゅう師免許番号:119533
不妊カウンセラー

■所属団体

奇経医学研究会スタッフ
経絡治療学会会員
日本不妊カウンセリング学会会員

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