Q 着床障害になったときはもう妊娠できないのでしょうか。

Q 体外受精を何度行っても妊娠できず、着床障害の疑いがあるといわれました。着床障害と聞くと「もう妊娠できない」という最後通告を受けたのではないかと正直ショックでした。着床障害になったときはもう妊娠できないのでしょうか。
そもそも着床障害の原因もよくわかっていません。年齢もまだ32歳なのでどうしてもあきらめきれず、西洋医学でだめなら東洋医学を考えています。
A 着床障害は、受精までは順調に進んでも、その後、着床できずに妊娠に至らないことを言います。
なぜ、着床できないかというと原因は人それぞれですが、最も多い原因の一つに黄体機能不全があります。
黄体の役割その1:安定した高温期を保持
黄体の一つ目の役割は、妊娠に不可欠な黄体ホルモンを分泌することです。
代表的な女性ホルモンにエストロゲンとプロゲステロンがありますが、主に基礎体温周期の後半、つまり高温期に分泌するプロゲステロンが黄体ホルモンと言われます。
プロゲステロン(黄体ホルモン)は、体温を高める役割があります。
黄体ホルモンが正常に分泌されることで基礎体温の高温期が安定するようになります。
もし、この黄体ホルモンの分泌が不十分だと、安定した体温を保持できなくなります。
黄体の役割その2:子宮内膜を厚くして、妊娠の環境を整える
黄体の二つ目の役割は、子宮内膜を厚くして、妊娠しやすい環境を整えることです。
わかりやすい例でいえば、ふかふかで温かい布団のような感じかもしれません。もし、薄くてかたい布団でしかもその布団が冷えていたらどうでしょうか。とても嫌な感じを受けますね。
赤ちゃんを宿すのはもっとデリケートで、赤ちゃんが宿りやすい体内環境をつくることはとても大切なことなのです。
着床障害の原因は黄体の異常
これらを踏まえると、着床障害の原因は、十分な子宮内膜ができないことと、安定した高温期が保持できないことにあります。
つまり、その二つを形成する黄体に異常があることを意味します。
病院では、黄体ホルモンを安定化するために、黄体ホルモン剤という内服を処方することがありますが、強制的に体温を高める役割があります。
薬が有効な手段であることは間違いないですが、自然な形で黄体ホルモンを分泌するわけではない、何度も使用すると体にも負担がかかるようになります。
黄体の異常は東洋医学では未病!?
黄体機能不全は、外見上は、レントゲンとかで異常がみられるわけではありません。
例え検査で子宮の異常が見られなくても、黄体が十分な機能を果たさない場合には、目に見えない何らかの異常を起こしているものと考えられます。
この状態は、東洋医学では未病と呼んでみます。
未病は、西洋医学では病気と判断されないですが、東洋医学では未病は「体の異常」と定義しているのです。
鍼灸は未病のような症状の施術を得意としている
東洋医学における鍼灸は、免疫を向上させ、機能低下した子宮を整え、安定した子宮内環境を作ります。
人によって1回で効果が出たという方もいますが、長い生活習慣でできた体は、しばらく放置すると元の悪い状態に戻ってしまいます。
つまり、ある程度の期間、鍼灸を続け、子宮本来の正常な状態に戻す必要があります。
近年では東洋、鍼灸のどちらを選ぶかよりも、西洋、東洋のよき面を取り入れるケースが増えています。
鍼灸で妊娠に適した子宮環境をつくりつつ、人工授精や体外受精に挑むことで妊娠の確率が高くなることもよく知られるようになりました。
両方の診療は大変そうですが、短期間で妊娠できたということであれば
その分、費用が安上がりになるのです。

黄体と子宮内膜の関係
(画像:荒木重雄 医学書院 不妊治療ガイダンス改定第2版)
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